酒造メーカー、酒類卸売業、酒類小売業
酒類業界全体の出荷量は横ばい。輸出は好調で海外の和食ブームにより日本のお酒も活性化へ
酒類業界の概要
国税庁「酒税課税状況」によると、酒類業界全体の出荷量は2010年に897万キロリットルとなり、ついに900万キロリットルを下回った。その後も出荷量は伸び悩んでおり、2011年以降は890万キロリットル前後で推移している。主な理由は、高齢化に伴う飲酒量の減少、飲酒運転に対する法律の厳罰化、若年層の飲酒離れなどが考えられる。ただし近年は低価格の第三のビールのシェアがビールに代わり上昇している。
また国税庁「酒類の輸出統計」によると、2013年の酒類輸出量は77,203キロリットル(前年比+17.2%)で過去最高となり、2003年から約1.9倍となっており、その中でもビール、清酒、ウィスキー、リキュール及びコーディアルが顕著に伸びている。
2014年の酒類への1ヶ月あたりの家計支出額は、総務省「家計調査」によると、2人以上世帯では3,189円/月(対前年△1.3%)、単身世帯では1,869円/月(対前年+11.8%)であり、2人以上世帯はお酒以外の消費支出と同じく前年より減少しているが、単身世帯においては全体の消費支出が減少するなかで、大きく支出が増加している。
今後の酒類業界は、国内出荷量の大きく伸びる可能性は低いと予想されるが、健康志向商品の投入などによる需要の喚起、中華料理チェーン店やファミリーレストランなどの「ちょい飲み」などで、あらたな国内需要を取り込めるかがカギとなり、そして成長著しい海外での日本食ブームに、清酒(日本酒)や芋焼酎、麦焼酎などの日本ブランド商品が進出していけるかが、今後の業界を左右する重要なポイントと考えられる。
酒類出荷量の推移
酒類輸出量の推移
酒類業界のM&A状況
2011年にはキリンホールディングスがブラジル2位のビール大手スキンカリオール・グループを買収し、2014年にはビール大手のサントリーホールディングスがアメリカのビーム社を買収するなど、大手ビール会社による海外ビール会社へのM&Aが活発化している。また2014年にはアサヒビール株式会社が高級和食のなだ万を買収するなど、周辺事業・関連事業に対する買収も見受けられる。
主な酒造メーカー
- ・アサヒホールディングス 連結売上高1,785,478百万円(2014年12月期) うち酒類事業売上高941,953百万円
- ・キリンホールディングス 連結売上高2,195,795百万円(2014年12月期) うち酒類事業売上高697,469百万円
- ・サントリーホールディングス 連結売上高2,455,249百万円(2014年12月期) うち酒類事業売上高891,497百万円
- ・サッポロホールディングス 連結売上高 518,740百万円(2014年12月期) うち酒類事業売上高281,819百万円
- ・宝ホールディングス 連結売上高 219,490百万円(2015年 3月期) うち酒類事業売上高189,760百万円
酒業界の関連法規